日本IBMが打ち出した「全開発案件への自立型AI活用」は、日本のIT産業構造を変える可能性を秘めています。中心となるのはAIエージェント型開発基盤「IBM Bob」。要件定義から設計、コーディング、テスト、セキュリティ検証、運用までをAIが一貫支援し、重要インフラでも利用可能なガバナンス設計が組み込まれています。さらに、国内完結型の「ソブリンAI」構想、COBOL/RPGなどレガシー資産のJava・Pythonへのモダナイズも加速。これは単なる開発効率化ではなく、膨大な保守ノウハウをAIへ内在化する戦略です。本稿では、生成過程・統制設計・米国本社との連携実績まで体系的に整理します。
1. 自立型AI「IBM Bob」とは何か
IBM Bobは、AIエージェント型の開発支援基盤であり、単なるコード補完ツールではありません。要件定義から設計、実装、テスト、セキュリティチェック、デプロイまでを統合的に処理する“AI駆動開発環境”です。米国IBM本社で先行利用され、日本IBMが全面展開を進めています。
1-1. 生成過程:要件定義から実装までのAI主導
Bobは「アーキテクトモード」により仕様を解釈し、コード構造を設計します。既存リポジトリを理解し、大規模リファクタリングやモダナイズ計画も提示可能です。Claude、Granite等複数LLMを適材適所で活用し、設計判断まで支援します。
1-2. 米国本社での実績と日本展開
米国IBM内部では数千人規模で活用され、生産性向上(約40〜50%改善)の実績が報告されています。InstanaやGuardiumなど自社製品開発でも活用済み。日本IBMはこれを国内基幹システム向けに適応しています。
2. 重要システム向けガバナンスとセキュリティ設計
Bobは「AIが勝手に動く」設計ではありません。重要インフラや金融・行政案件を前提に、厳格なガバナンスとセキュリティが組み込まれています。Shift-leftセキュリティとAIガバナンス統制が中核です。
2-1. AIガバナンスの具体構造
IDE内にセキュリティスキャン(Semgrep等)を統合。コンプライアンス(FedRAMP、HIPAA等)対応。人間レビュー必須設計。ポリシーベースの生成制御が実装されています。
2-2. 重要インフラ対応の統制フロー
オンプレ/ハイブリッド環境での閉域利用が可能。権限管理・監査ログ・生成履歴管理が統合され、金融・公共案件でも運用可能な設計です。
3. ソブリンAI構想の中身
ソブリンAIとは、AIモデル・データ・演算基盤を国内に閉じ、法規制とデータ主権を確保する構想です。日本IBMはAI Lab Japanを拠点に、国内パートナーと共同開発を進めています。
3-1. ソブリンAIのアーキテクチャ
・国内データセンター
・ハイブリッドクラウド(OpenShift基盤)
・国内保存LLMモデル
・アクセス統制/監査ログ基盤
・ガバメントクラウド連携
3-2. 国家レベルAIとの連携可能性
行政・金融・通信向けにデータ国外流出を防止。国内AIエコシステム(松尾研究所等)との連携を通じ、日本独自のAIインフラ構築を進めています。
4. COBOL/RPGからJava・Pythonへのモダナイズ戦略
日本IBMのAI戦略は、単なる開発効率化ではなく、レガシー資産の再構築が核心です。COBOL・RPGなど旧式言語のAI支援モダナイズが進んでいます。
4-1. COBOL→Java移行の具体例
・既存COBOLコードの構造解析
・業務ロジック抽出
・Javaマイクロサービス化
・OpenShift上でコンテナ運用
・段階的並行稼働
4-2. Python活用とクラウドネイティブ化
RPGからPythonへの置換事例も報告されています。さらにJava中心のクラウドネイティブ設計へ移行し、API化・マイクロサービス化を推進。Red Hat OpenShiftとの統合が鍵となります。
総括:
日本IBMの「全開発案件AI化」は、単なるツール導入ではありません。
膨大な保守ノウハウをAIに内在化し、重要インフラでも安全に使える統制設計を備え、レガシーからモダンへ移行する国家レベルの変革です。
これは“AIが補助する時代”から“AIが設計の中核を担う時代”への転換と言えます。
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