生成AIは便利です。私自身、ブログ執筆やプログラミング、
技術調査の多くを生成AIに支援してもらっています。
記事構成の作成、コード生成、調査の補助など、以前なら
数時間かかっていた作業が数十分で終わることも珍しくありません。
しかし、実際に使い込むほど見えてくることがあります。
それは「AIは万能ではない」という事実です。
今回私は、物理学の回転運動の一種である「ラーマ歳差運動」
をテーマに、AIとの対話だけで記事を構成し、動画化の方法を
検討し、さらにWordPress・Rails・Djangoとの連携まで議論してみました。
するとAIは驚くほど多くのアイデアを提示してくれました。
一方で、実装や物理モデルの正確性になると曖昧な部分も現れ、
人間による検証の重要性も改めて見えてきました。
本記事ではラーマ歳差運動そのものの解説だけでなく、実際の
AIとのやり取りを通して「AIが得意なこと」「AIが苦手なこと」
「人間が確認すべきこと」を整理します。
これから生成AIを使って専門記事を書いてみたい方や、WordPressと
Pythonを組み合わせた技術コンテンツ制作に興味がある方の
参考になれば幸いです。
AIにラーマ歳差運動の記事構成を考えさせてみた
最初に私がAIへ投げかけたのは単純な質問でした。
「ラーマ歳差運動をブログで伝えるにはどんな構成がよいだろうか」
するとAIは単なる物理解説ではなく、読者の理解プロセスを意識した構成を提示しました。
その流れは以下のようなものでした。
- 動画で動きを見せる
- 直感的な説明を行う
- LaTeXによる数式解説を行う
- +応用例を示す
- 追加資料を提示する
興味深かったのは、いきなり数式から始めなかったことです。
これは人間の理解プロセスにかなり近い発想でした。
動画から説明を始めるという提案
歳差運動は文章だけで説明すると非常に難しい現象です。
回転している物体の軸がゆっくりと円を描くように動くため、読者はまず「どんな動きなのか」を理解する必要があります。
AIはここで動画を最初に配置することを提案しました。
確かに読者が最初に10秒程度のアニメーションを見るだけで、その後の説明が圧倒的に理解しやすくなります。
これは教育工学の考え方とも一致しています。
人間はまず現象を観察し、その後に理論を学ぶ方が理解しやすいのです。
LaTeXによる数式解説という提案
次にAIはLaTeXによる数式の活用を提案しました。
例えば歳差角速度は次のように表現されます。
Ω = τ / L
ここで、
- Ω:歳差角速度
- τ:トルク
- L:角運動量
となります。
さらに角運動量は
L = Iω
と表されます。
AIはこれらの式を3〜4個程度に絞り込むべきだと提案しました。
実際これは非常に良い判断です。
専門家向けの記事ではありません。
読者が理解できる最低限の数式だけを使う方が記事全体の価値は高まります。
応用例を先に見せるという提案
AIは応用例を重視していました。
具体例として次を挙げています。
- 地球の歳差運動
- ジャイロセンサー
- ドローン制御
- 人工衛星の姿勢制御
- 宇宙機の航法
これは非常に重要です。
読者は知識そのものよりも「どこで使われるのか」を知りたいからです。
物理学の概念であっても、スマートフォンやドローンに繋がると途端に身近になります。
AIはこの点をよく理解していました。
WordPressで動く歳差運動アニメを表示できるのか検証した
次に私は、ブログ上で歳差運動を動的に見せる方法をAIへ相談しました。
テーマはクラシックエディターを利用しているWordPress環境です。
静止画だけでは伝わりにくい現象なので、できれば動かしたいと思ったのです。
GIFとMP4はどちらが適切か
AIはまずGIFアニメを提案しました。
確かにGIFは簡単です。
アップロードするだけで動きます。
しかし運用を考えると問題もあります。
- ファイルサイズが大きい
- 画質が低い
- スマートフォンで重い
一方MP4は圧縮効率が高く、画質も良好です。
現在のWebではGIFよりMP4が推奨されるケースが増えています。
ここはAIの提案をさらに人間が検証して判断する必要がありました。
iframeでRailsやDjangoを埋め込む方法
次にAIはiframe方式を提案しました。
例えばRailsやDjangoで作成したシミュレーターを別サーバーで動かし、その画面をWordPressへ埋め込む方法です。
<iframe
src="https://example.com/rama_precession"
width="100%"
height="600">
</iframe>
この方式には大きな利点があります。
- WordPress側が軽い
- アプリを独立運用できる
- 更新が容易
- セキュリティを分離できる
特に私のようにRailsやDjangoを既に運用している場合は有力な選択肢になります。
AIが見落としていた運用上の注意点
ただし、AIの回答にも抜けはありました。
例えば以下です。
- Core Web Vitalsへの影響
- モバイル通信量
- 検索エンジンの評価
- サーバー負荷
AIは実装方法を列挙するのは得意です。
しかし実際にサイトを運営している人間が気にする運用コストまでは深掘りしてくれませんでした。
ここに生成AIの限界があります。
AIは設計図を描くことはできても、現場監督にはなれないのです。
Pythonで動画生成を試みて見えた生成AIの限界
最も興味深かったのはここです。
AIはPythonによる動画生成コードまで提案してきました。
matplotlibを使い、歳差運動をアニメーション化する構成です。
matplotlibコードは本当に動くのか
AIが提示したコードは一見すると非常に完成度が高く見えました。
しかし注意が必要です。
コードが表示されたからといって、そのまま本番投入できるとは限りません。
実際には、
- ライブラリのバージョン差異
- ffmpegの導入状況
- OS依存
- メモリ使用量
などを確認する必要があります。
AIは「動きそうなコード」を出すのは得意ですが、「本当に動くコード」を保証しているわけではありません。
manimという選択肢
さらにAIはmanimも提案しました。
manimは数学教育向けアニメーションライブラリです。
美しい数式アニメーションを作れます。
ただし学習コストは高めです。
ここでもAIは候補を提示してくれましたが、どちらを採用すべきかまでは判断してくれません。
最終的な選択は利用者自身が行う必要があります。
AIは検証を代行してくれない
今回のやり取りを通して最も強く感じたのはここです。
AIは検証を代行してくれません。
例えば歳差角速度について、
Ω = τ / L
という式を提示してくれました。しかしこれは教育用に
単純化されたモデルです。厳密な剛体運動方程式を
解いているわけではありません。もし物理学の研究レベルで
扱うなら、さらに高度なモデルが必要になります。つまりAIは、
- アイデアを出す
- 構成を提案する
- コードを書く
- 文章を整理する
ことは得意です。
しかし、
- 正しいかどうかの保証
- 学術的妥当性の確認
- 本番運用での検証
は人間の仕事です。
ここを勘違いすると、AIの回答を鵜呑みにしてしまいます。
今回のラーマ歳差運動の検討は、その良い実例になりました。
まとめ|AIは優秀な共同執筆者だが最終責任者ではない
今回、ラーマ歳差運動という少し専門的なテーマを題材として、生成AIと長時間対話してみました。
AIは記事構成の提案、動画活用のアイデア、WordPressとの連携方法、Pythonコードの雛形作成など、多くの場面で大きな力を発揮しました。
一方で、コードが本当に動作するか、物理モデルとして正しいか、実運用で問題がないかといった部分は人間による確認が不可欠でした。
生成AIは検索エンジンの代替ではありません。
また専門家の代替でもありません。
しかし優秀な共同執筆者として活用すれば、一人では到達できなかった発想や実装案に短時間で辿り着くことができます。
今回のやり取りは、AI時代における技術記事制作の一つの実例です。
ラーマ歳差運動そのものよりも、むしろ「AIをどう使いこなすか」という視点で、多くの方の参考になれば幸いです。
〆最後に〆
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